安藤農園研究農場
平成2年に松江市揖屋干拓地に自社研究農場を開設し、伝統野菜や県オリジナル野菜等の生産、弊社推奨野菜の栽培技術の確立、将来を担う農業者の育成に力を注いでいます。
令和4年11月18日、島根県と「島根県の次代を担う農業経営者育成協定書」を締結させていただき、農業を目指す方であれば、独立を前提に雇用する体制も整えました
平成27年から栽培を開始した「ゴールデンパールメロン」は、弊社の看板商品となっています。
青果は「ご縁玉」と名づけて県内をはじめ関東・関西のお客様に購入いただいているほか、県内外の加工業者の皆様には美味しくてメロンの味わいが生かされたお菓子や飲料水などの商品にしていただいています。
ゴールデンパールメロン
ゴールデンパールメロンは、芳醇な香りとさわやかな甘みのある美味しいメロンです。しかし、栽培が非常に難しいことから栽培農家数が減少し、しばらくは安藤農園のみで生産を続けてきました。
メロンの美味しさに共感いただいた「(株)ちいきおこし」様と販売の一元化を行い、平成30年にオリジナルブランド「ご縁玉」として販売を開始しました。また、加工品は、令和元年に 「ご縁玉サイダー」、「ご縁玉ゼリー」、「ご縁玉アイス」 を商品化されたほか、平成4年は、松江の老舗和菓子店「風流堂」様が「松江ゴールデンパールメロン大福」を販売開始されました。
ゴールデンパールメロン栽培の特徴
このメロンの特徴は、「栽培が難しい」の一言です。長年、多くの野菜を栽培してきた私たちですが、このメロンほど手間暇かけ、試行錯誤を重ねて育てたのは初めてです。植え付けるときの土の状態、肥料をやるタイミング、雌花の開花日の天候、実を大きくするための温度と湿度の管理など、多くの課題を克服してようやく美味しいメロンに育ってくれます。栽培の途中までは緑色の果実が、収穫に近づくと黄色、収穫後に黄金色に変わった時の喜びはひとしおです。
ゴールデンパールメロンづくり
美味しいメロンができること、いろいろな方と「ご縁」があることをお願いするため、メロン栽培を始める前にスタッフと一緒に種を持って出雲大社にお参りをしています。メロン栽培は、3月に種まき、4月植え付け、5から6月に誘引・玉つりなどの作業を行い7月初めから収穫を開始します。天候にもよりますが、収穫終了は8月初めくらいです。6月は、果実を大きくし、きれいなネットがでるようハウスを締め切り高温多湿にする工程があり、その中で行う作業は暑くて大変です。
こだわり
【土づくり】
平成2年、揖屋干拓 地に農場を開設して以来、土壌病害に悩まされることはありません。種や苗を扱う会社の特性を生かし、いろいろな専門業者様から紹介いただいた有機質肥料や土壌の活性化作用を持つ資材を試してみて、農場の土にあった資材を使い続けていることが一つの要因と考えています。また、地域で手に入る「もみ殻」などで作った「ぼかし肥料」を使うことも病気の抑制に効果があると思っています。よい土壌が美味しい作物を育てるをモットーに、土壌中の有用な微生物を育てること、地域の未利用資源を最大限に活用することを続けながら「手を抜かず」・「根気よく」土づくりに取り組んでいます。
【環境制御】
美味しいメロンを作るためには、苗を元気に育てることが大切です。そのために、メロンが快適に過ごせるよう細やかな管理によりハウス内の環境を整えています。最後は自分たちの目で見てメロンの生育状況を判断するのですが、経験のある職員や経験の浅い職員では判断基準が違う場合があります。そのため、ハウス内の温度や湿度を図る機械を導入し、暑くなればハウスの横を少し開けて温度や湿度を調節しています。平成3年と4年に、松江市のスマート農業導入支援事業を活用させてもらい、一部のハウスでは自動でハウスの横を巻き上げて温度調整等できる機械も設置できました。
【色と形】
このメロンは、黄金色と細かいネットの美しさが魅力の一つです。元気に育っても、形が悪かったり色が不鮮明であったりしたら商品価値が落ちます。大きすぎたり、形が楕円形になったり、色が不鮮明・ネットの盛り上がりに欠けるメロンは、規格外として加工用に仕向けます。天候やメロンの状態を見ながら、理想の形を思い浮かべつつ管理をして、美しいメロンに仕上がった時は一仕事終えた充実感に満たされます。
ゴールデンパールメロンの作り手の思い
栽培の難しさを克服するため、いろいろな方のアドバイスをいただきました。特に、雲南市の先輩農家からは、このメロンを作りこなすために必要な管理技術を教えていただきました。この先輩は、「ゴールデンパール」の先代メロン「ゴールドスター」を唯一作りこなした農家であり、島根の宝であるこのメロンの系統を絶やさないことをずっと唱えてこられた方です。その思いを安藤農園が引き継いだと思っています。これまで育種・栽培・販売に携わってこられた先輩たちの思いを背負って、大切に大切に育てています。